日常でかんがえること。

三十路・女性・元勤め人の私が日常でかんがえることを書きまとめるブログです。キーワード:就活、自己紹介、文例 が強いです。

仕事上、ヴァージンでいるということ。

長年仕事をしていると、「ご存知でしょうが」の話し方になっていくことに気づいた。

もちろん、何回も同じことを言うのは馬鹿馬鹿しいこともあるでしょう。

しかし、「自分の頭の中は」そうではいけないなと思うおはなし。

 

例えば、毎日同じ仕事をしていても、その仕事を他人が見た時に、

「それ、本気でやっているの?」ということが有ると思う。

 

私が新卒で入った会社では、ちょうどパソコンが一人一台になった時期でした。

今までワープロで打っていた書類をエクセルなどで処理するようになったわけです。

時は平成12年。

私が最初に入った部署では、紙の伝票を手入力していた。

それはいいと思う。

現場の社員は、社員番号、氏名、交通費、雑費を記入する伝票を週1回書く。

提出された伝票をそのまんま入力をして、経理に出すのが私の仕事。

私の入力が遅ければ、現場の社員は交通費の支払いが遅れる。

それ、毎週。

 

毎回、社員番号を8ケタ入力して、氏名を入力して、交通費を入力して…

もう、うんざりだった。

氏名を漢字で入力するんだけど、間違えちゃいけないし。

 

その仕事を1ヶ月ほどやった時に。

なんのための社員番号なんだ?って思ったのね。

社員番号を入力して、氏名を入力する行為を毎週行うわけです。

でも、意見を言う立場でもなく、パソコンが得意だったわけでもなかった。

だから前例に従って入力をするのが私の仕事だったわけです。

その数、約500枚。

それを毎週毎週月曜日に入力をするのです。

もう、気が狂いそうでしたね。

 

「なんで毎週毎週同じことをするのよー」って。

だって違うのって交通費と雑費だけじゃん!!!

 

そこで、パソコンが得意な人に「エクセルって、社員番号を入れたら氏名が出るとか出来ないんですかね?」

聞いてみたのです、勇気を振り絞って。

「出来るよ」ってあっさり。そんなにあっさり???

そこで、初めて「計算式」って言うものを知るのであります。

「if」ってなにー?「vlookup」ってなにー?な、ギャルが開眼しました。

 

だって、月曜日に飲みにいけないんだもん。

一日かかって伝票入力するの、飽きたんだもん。

 

そんな訳で、苦戦すること2週間。

計算式を作ってみてはエラーに肩を落とし。

社員番号と氏名が入ったデータベースに苦戦し。

 

やっと出来た時は本当に感動しました。

そりゃ周りは「なにやってんだろ、あの子」って思っていたと思う。

でも、私にとって、進化の2週間だったのです。

 

自分の作った、「社員番号を入力したら社員氏名が出てきて」

「交通費などの金額を入力するだけ」のシート。

データベースも改善。毎週の集計も簡単!最後のシートにリンクをして、「◯月度交通費精算集計」と作った。

これでもたもたしないでいい!と喜んだわけです。

(結構仕事ができない子扱いだったもので)

 

その後、私はこっそり自分の仕事の部分だけを改善していきました。

長年やってきている先輩の行動を否定できないし…。

上司に「こんなんありますよ!」って言いにくいし…。

 

でも上司は気づくわけです。

「あいつ、残業していないな」って。

 

面談の時に「なんで仕事早くなったのか?」と聞かれ、「実は」と。

そうしたら「早く言え!」と怒られたわけです。

そりゃ、そうだ。

 

それから私の作ったシートを部内で共有するようになりました。

めでたし、めでたし。なら、良かった。

 

この部署の人たちがエクセルを使いこなしていたら、

こんな新卒のペーペーが作ることもなかった訳です。

社員番号入力したら氏名が出てきたら楽だなーって思う人がいなかった。

 

つまり、「エクセルの計算式の仕組み」から「シートの使い方」

そして「シートがエラーを起こしたら」について全て私が教えることになったのです。

 

ここが私の原点です。

「全く知らない」「できない」人間は「出来るようになった」過程を知っています。

でも、「知らなかった私」と「知ってしまった私」はぜんぜん違う。

 

私は「知らなかった私」に戻ってマニュアルを作らなくてはいけないのです。

今の私には疑問点なんかない。

自分が使いやすいように作ったんだから、最高。

 

最初はとても戸惑った。

先輩が何で質問をしてくるんだろうって思ったし。

それ必要ないから!って何度も思った。

必要ないことを「必要ないです」と言うこと。

すごく気を使うんですよね。

でも、たまーに「おお!そんなこともあるのか!」っていう気付きがある。

だからないがしろに出来ない。

 

そうだ、めんどくさい。

全部とりあえず、メモしてきたノートから作ってみようと。

初心者だった私が書いてきたノートを元にしたらいいんじゃね?って。

 

そこから作り上げて、質問を聞く。

その質問に関してのFAQを作る。

また追加していく。

追加したのを見てもらう。

躓いたところは全部注意書きにする。

こうして、新入社員が入ってきても怖くない。

エクセルシートとマニュアルを渡しておけばとりあえず仕事になる。

このシステムが構築された時に私はとても嬉しかった。

 

これが私のマニュアル屋としての人生の始まりだと思う。

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そして、タイトルに戻るのです。

「仕事上、ヴァージンでいるということ。」

誰もが初めてってあると思う。

でも、初心は忘れてしまうものだ。

「自分は覚えている!」と思っても、それが誰かの初めてとイコールではない。

繰り返される日常で、できることだけに目を向けて、いく。

そして新しいことに気づかなくなると思う。

何で悩んだのか、何で出来なかったのか。

そんなことを日常で感じることがなくなっていくと思う。

もちろん、スキル的にはプロフェッショナルにならなくてはいけない。

 

でもね。

 

「効率化」「生産性」を考える時、ヴァージンの気持ちって大事じゃないかなって。

いつも、私は自分の仕事に向かう時、「ヴァージン」でありたいと思う。

この業務に初めて向かい合う気持ち。

何も分からない人が、最初に向かい合った時に感じる無駄、矛盾を解消した時。

初めて「効率化」の一歩が踏み出せそうな気がするのです。